Voice 04

人材派遣の仕組みを活用して、 コロナに負けない就業支援サービスを。

人材派遣×職業訓練

インタビュースタッフ

大橋 章展さん Akinobu Ohashi
滋賀県庁 商工観光労働部 労働雇用政策課

Backborn

コロナ禍の厳しい雇用情勢のなか、失業した県民を支援したい。

日本最大の湖「琵琶湖」を擁する滋賀県。古くは大阪・京都・奈良へ物資を運ぶ中継地として栄え、現在は製造業が盛んな「ものづくり県」として発展しています。そんな滋賀県において就業訓練を実施するなど、県民一人ひとりにとって働きやすい環境の整備に取り組んでいるのが、労働雇用政策課。私自身も電気分野の技術者だった経験を活かして職業訓練の指導員を行うなど、能力開発の支援に努めています。 そうした中、2020年に大きな出来事が起こりました。世界中に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響で、全国的に失業率が増加。滋賀県内でも夏頃には新型コロナウイルス感染症の影響で失業する人やお店をたたむ人が目立ち始めていました。何か対策を打たなければ深刻な事態になる。そう考えて滋賀県庁・労働雇用政策課では、新型コロナウイルス感染症の影響で不安定な雇用状況になっている求職者向けに新たな就業支援をおこなうことにしました。 そこで課題になったのはプログラムの内容。県の特色から、私たちがふだんおこなっている職業訓練はものづくり分野が中心でした。そこで働きたい人、雇用したい企業の幅広いニーズに応えられるプログラムを実現するために、プロポーザル方式によって民間企業から事業提案を募ることにしました。そうして巡り合ったのがスタッフサービス。ユニークな提案に、驚きと可能性を感じました。

Action

人材派遣のノウハウを活用して、雇用につながる職業訓練を。

スタッフサービスから提案された「Biwa College ~しがキャリアプロジェクト~」は雇用型の職業訓練。オンラインによる1ヶ月間の基礎研修と、2ヶ月間の職場実習からなる3ヶ月間のプログラムです。研修・実習期間も求職者はスタッフサービスの派遣スタッフとして、給与を得ながら訓練を受けることができます。そしてプログラム終了後、求職者と実習先企業が合意すれば、継続して派遣スタッフとして勤務したり、直接雇用に切り替えるなどの就業支援をおこなうという内容です。 職業訓練中も給与を得られるので経済的な面での安心はもちろん、期間中はカウンセラーの方が心配事やキャリアの相談など、手厚くフォローしてくれるので安心して仕事に取り組むことができます。 何よりも私が驚いたのは充実した研修内容と柔軟さ。今でこそオンラインでの研修は当たり前になっていますが、当時はまだ馴染みがなく、私たちも基礎研修は集合型でやるものと思い込んでいました。だから正直な話をすると「オンラインで個別に実施する」と聞いた瞬間は、「大丈夫かなあ」という思いがあったことも事実です。でも、用意しているプログラムの豊富さを知り「むしろ個別に研修したほうが、一人ひとりの声に合わせたスキルセットができる」とすぐに考えを改めました。日頃からさまざまな状況の求職者の方をサポートしてきた、スタッフサービスだから実現できた事業だなと思いました。

写真

Result

人の熱意で創出した、就職率79.2%の雇用。

「Biwa College ~しがキャリアプロジェクト~」は、2021年の7月と11月の2回実施しました。どちらの回も定員数の2倍を超える応募がありました。内容についても、受講者からは「基礎研修では自分の実力を再認識することができて良かった」「あらためてビジネスマナーを学べて良かった」といった満足の声を多数いただきました。また、企業からも「2ヶ月の就業期間があったので、ミスマッチを防げた」「ふだんなら出会えないような異業種出身の方を採用することができた」と高い評価をいただき、最終的には受講者の79.2%の就業支援に成功。今回のプロジェクトの反響は大きく、近隣の県からも「参考にしたい」という問い合わせもいただき、実際に同じような雇用型職業訓練を始めた県も出てきたようです。 成功の要因はどこにあったか。私は、スタッフサービスの「熱意」が大きかったと思っています。もちろんカリキュラムやノウハウも素晴らしいのですが、仕組みだけで就業支援はできません。結局は人と人の関わりなんです。どれだけ求職者の方に寄り添ってサポートできるか。そうした熱意を、スタッフサービスのみなさんから感じることができました。大きなトラブルなく1年にわたるプロジェクトを完遂できた事実が、関わってくださったみなさんの「熱量」を物語っていると思います。 滋賀県では現在、更なるサービス向上にむけて職業訓練施設の見直しを図っています。それに伴い、フォロー体制や指導のあり方についても、さらなる磨き上げが必要でしょう。私自身も、就業支援に関わる職員に今一度、熱意の大切さを伝えていきたいと思います。